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ペプチドによるホヤ卵胞の成長,成熟,排卵機構

  • 2021/12/01

Summary

カタユウレイボヤに存在する神経ペプチドやペプチドホルモンとその受容体,ならびにシグナル伝達機構の解明によって,特定のペプチドがそれぞれの発達段階で卵胞の成長,成熟,および,排卵を制御する機構の基本スキームが明らかになった。

 カタユウレイボヤ(Ciona intestinalis Type A,またはCiona robusta)は「脊椎動物に最も近い無脊椎動物」の一種であり,発生生物学やゲノム科学ではモデル生物としてよく研究されている。しかし,ホヤ卵胞の成長,成熟,排卵の制御機構は不明だった。私たちの研究グループでは,カタユウレイボヤに存在する神経ペプチドやペプチドホルモンとその受容体,ならびにシグナル伝達機構を解明するとともに,特定のペプチドがそれぞれの発達段階で卵胞の成長,成熟,および,排卵を制御することを明らかにした(本号総説参照)。この成果により,ホヤの卵胞の成長,成熟,および,排卵の制御機構の基本スキームが明らかになるとともに,ホヤと脊椎動物が属する脊索動物門の配偶子形成システムの進化や多様化を明らかにする突破口を開いたと考えている。写真の提供と図の作成は,サントリー生命科学財団の川田剛士博士,大杉知裕博士,松原伸博士,および筆者による。

ペプチドによるホヤ卵胞の成長,成熟,排卵機構

サントリー生命科学財団  佐竹 炎

 

(出典: 学会誌「比較生理生化学」Vol.38 No.3 表紙より)

 

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