Cover Photos

触角葉糸球体における匂い価値の表現

  • 2019/04/15

Summary

キイロショウジョウバエの触角葉糸球体では匂い応答パターンが3つのクラスターに分けられ、誘引や忌避などの匂い価値の情報と関連する地理的にクラスター化した糸球体グループが存在する可能性が示唆された。

 この図は52個の糸球体から構成されるキイロショウジョウバエ( Drosophila melanogaster )の触角葉のうち,in vivo ホールセル記録により同定された31個の糸球体からの投射神経の匂い応答パターンを,共通の触角葉のテンプレート(上:正面像,下:背面像)に発火頻度を疑似カラーとして再構成したものである。クラスター解析により,匂い応答のパターンは3つのクラスターに分けられ,上段(赤枠)は生得的な誘引匂い物質に対するパターン,中段(青枠)と下段(緑枠)はそれぞれ異なるグループの忌避匂い物質に対するパターンに分けられた(詳しくはp.54図2参照)。このことから,誘引や忌避などの匂い価値の情報と関連する地理的にクラスター化した糸球体グループが存在する可能性が示唆された。

 p.51からの総説では,昆虫脳をモデルとして脳内における嗅覚情報表現について,最新の知見をまじえて概説する。生得的な匂い価値の情報表現に加え,性フェロモン情報処理経路の全容解明,生態学的に重要な匂いのラベルドライン処理様式,キノコ体出力部の区画化とドーパミン修飾機構や側角神経の全貌など,ガ類と特にショウジョウバエからの知見を中心に紹介する。嗅覚系一次中枢の触角葉から高次中枢であるキノコ体,側角,さらにその出力における情報表現を概観し,嗅覚情報処理経路の構成について考察する。

触角葉糸球体における匂い価値の表現

東京薬科大学生命科学部 関 洋一

 

(出典: 学会誌「比較生理生化学」Vol.36 No.1 表紙より)

 

TOP