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共生クロレラを持つ生物たち

  • 2016/10/03

Summary

淡水環境に生息している原生動物・後生動物の仲間には,単細胞緑藻類の共生クロレラを細胞内共生させているものが多く知られている。

 淡水環境に生息している原生動物・後生動物の仲間には,単細胞緑藻類の共生クロレラを細胞内共生させているものが多く知られている。図は共生クロレラを持つ原生動物・後生動物を何種類か並べたものである(各生物種については,本誌の著者らによる総説を参照)。

 ミドリゾウリムシ(図下段)は,共生クロレラを持つ生物の中でも特に多くの研究が行われている。ミドリゾウリムシは容易に「白化」と「再共生」が行うことができ,この利点が,細胞内共生における優れた実験材料であることを示している。共生クロレラを持つ共生状態のミドリゾウリムシ(図下段,左)は,細胞内に数百個の共生クロレラを安定的に保持している。一方で,人工的に宿主から共生クロレラを実験的に排除した白化株(図下段,右)もつくることができ,更にこの白化株に再び共生クロレラを共生させることも可能である。このように宿主株の遺伝的なバックグラウンドを損なうことなく共生状態と非共生状態を得ることができ,比較研究に用いることができる点は,細胞内共生研究におけるミドリゾウリムシの強みとなっている。

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<p align=神戸大学大学院理学研究科 早川 昌志 ・ 洲崎 敏伸

 

(出典: 学会誌「比較生理生化学」Vol.33 No.3 表紙より)

 

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