学会組織

会長挨拶 (2018)

  • 2018/1/10

Summary

2018-2019年度JSCPB会長からのご挨拶です。

 2018年の年頭にあたり、伯耆富士、大山の雄姿を望む車窓から、初春のお慶びを申し上げます。今年も一年、会員の皆様とともに、すこやかに、のびやかに、それぞれの研究の進展を期して、また、日本比較生理生化学会の健全で発展的な運営を意識の中心に据えて、過ごすことができればなによりと考えております。

 2期目の発進にあたり、学会本部体制について、国際対応委員が深田吉孝先生から田中浩輔先生へバトンタッチされたことは既にお知らせしたと思いますが、行事委員長として新たに石川由希先生に加わっていただき、ご苦労の多かった編集委員長には、嬉正勝先生から、これまで庶務幹事をしていただいた片野坂公明先生へ交代、片野坂先生に代わる新しい庶務幹事には、行事委員長だった志賀向子先生に加わっていただきます。また、学会賞等審査委員は昨年の顔ぶれから大幅に変更されています。

 さて、新春早々渋い話になりますが、ここしばらく賛助会員の退会が続いています。各社で上層部の世代交代が進み、アカデミアへの賛助方針の見直しがなされたためと思われます。会員の先生方の研究室で、新たな賛助会員を開拓していただけると嬉しく思います。それから学会の会員数、公称431名は、昨年に比べて大幅な減少です。一見ショッキングな減り方にみえますが、これは、実情を正直に把握することが大切と思い、数年来音沙汰いただけなかった員数を事実上退会としたためで、学会の魅力が急激に落ちたということではありません。比較生理生化学最新号の会員移動をみると 25名の方が新しく入会されています。今年から、「学生会員の入会金ゼロ円」を決定しましたので、これを弾みに入会を迷っていた学生・院生がこぞって入会、発表経験を積んでくれることを願ってやみません。今後とも、年会大会や年間を通しての企画、日々の発進手段などを通して会員の皆様の素晴らしいご研究の数々を紹介することで学会の良さを内外に浸透させ、数字のマジックに一喜一憂することなく地道に会員を増やす努力を致しましょう。即効薬はございません。

 その努力が実るまでの間、学会運営の財政緊縮のために会誌の刊行を年4回から3回へ身を切る決定を致しました。なかなかに辛いものがございましたが、事情が改善されれば、会員の皆様の要望次第で年4回の発行に戻すこともやぶさかではありません。今般の決定は残念ではありますが、編集委員会の皆様には、年間の総ページ数は減らさぬように、内外の書き手を開拓して、引き続き、目に見える学会の顔として、いっそう読み応えのある記事の掲載を心掛けてていただくようにお願い致しております。会員の方々からの投稿はいつでもお待ちしています。執筆者、テーマ、特集企画などの推薦ならびに要望もどしどしお知らせください。

 一方、ここ2年間休眠状態にあった出版企画委員会を教科書問題委員会と連動して動かしたいと思っています。生物科学学会連合の活動ということで、本学会の教科書問題委員会がまとめた「生物学用語」についての資料が、学会連合でまとめられることなく棚上げにされました。学術会議の意向など事情があり、やむを得なかったこととは思いますが、あまりに勿体ないので、これを活用して使える出版物として世の中に出すことを考えたく思います。高校教員の会員の方々と大学教員の会員の意見交換を行いながらの作業が予想されます。それぞれ多忙な日常の中から時間を割いてのご苦労をお願いすることと思いますが、その作業自体が、学会レベルでの血の通った高大連携の一助になるとお考えいただければ嬉しいです。

 思い返せば、日本比較生理生化学会は、今年、その前身であった動物生理学会発足以来40年、紆余曲折はあれ荒波に揉まれ、それなりに成長して生き残り、不惑の歳を迎えました。40年前に学生会員としてワクワクしながら新しい学会に入会してきた先生方が、還暦かそろそろ退職かという巡りあわせになります。研究室を率いて学会に参加してきた先生が交代されると、学会の色合いが微妙に変化します。そのような変化を繰り返しながらも、不惑というにふさわしい、芯の座った学会になったでしょうか。これで安泰と足組み腕組みして胡坐をかいている日本比較生理生化学会の姿をイメイジしてもらっては困ります。研究領域間の横断連携や交流の推進がいわれて久しく、私どもの日本比較生理生化学会も、記憶に新しいものだけでも、国際神経行動学会との合同、日本比較内分泌学会との合同、日本味と匂学会との一部共催と、いろいろとありました。あくまでも私見ですが、比較生理生化学というのは、生物学外の異分野のアカデミアの目には、面白そうなきっかけがたくさん見つかりそうに映るようです。比較生理生化学をパートナーとする学会レベルでの連携活動の要請は今後さらに増えてくることでしょう。日和見にくっついたり離れたり・・・ではなく、時に臨んで、ぶれない芯をもち、かつ、未知の相手との相互展開に興味を持って軽やかに処していける、文字通り働き盛りの不惑のイメイジを体現していきたいと思います。11月に、不惑記念の学会大会を神戸で開きます。奮ってご参加のほどお願いいたします。また来年はICCPB国際会議がカナダのオタワで開かれます。日本の代表学会として、国際学会活動にも大いに貢献したいものです。

 

  2018年1月10日 

日本比較生理生化学会 

会長 尾崎 まみこ 


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